2010年03月29日

ぷかぷか

水と空気の間に寝そべって
ゆらりゆられつ、いきつもどりつ
どっちつかずにまどろんで、失った脊髄
ふわっと水が持ち上がり
まだ手足があったことに、はっとした

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2010年03月22日

ごろごろぴゅぅ

ごろごろごろごろ
大きな岩が転がりだした
たくさんたくさん転がりだした
がっちんごっちんぶつかって
ざりざりざりざり
石の流れになってきた
押し合い圧し合い流れていって
かっちんこっちんぶつかって
さらさらさらさら
砂の流れになってきた
ぴゅぅとひと吹き風が舞い
なにも残らず消えちゃった

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2010年03月15日

ひかりのけしき

ひかりのたま、に降り注ぐ
こえ、こえ、こえ

目が眩む
突き刺さるようだ
開けていられない
きれいなひかり
水滴が揺れてるみたい
とりどりに輝いている
身体が熱い
内にも火がついたようだ
燃えていく
ほんのり包まれて
縁側に干した布団の上のよう
まどろみに落ちてゆく

やがてそれらは無数の叫びと気配に変わって
入り混じったまま
ひかりのたま、に降り注ぐ

叫びはひかりのたまのなかでひとしきり悶えて
やがて耐え切れずに虚空へと飛び立ってゆく

気配はひかりのたまのなかで自ら輝き始め
やがてぜんたいとなってゆく

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2010年03月08日

真夜中のリトグラフ

それは、うさぎのしっぽのわたぼうし
それは、夕陽の照らすさざ波
それは、母のつくったアップルパイ
きみはただ壁にかかっているだけだのに
真夜中のリトグラフ
このときの、このぼくにしか耳にできない奏でを
どうして惜しげもなく響かせる
きみの“き”は、ぼくの“ぼ”に
響きに、包まれて満たされて

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2010年03月01日

あなたはぼくを何と呼ぶ

せわしくせわしく腕でかき分けて
脚を、文字通りにばたつかせて
波の間に間に、あと少しもう少し

浸水する水を、来る日も来る日もかいていた
かい出す間に少しでも食べ物を流し込めればましな方
腹をすかせて舟べりに突っ伏して
束の間休んだと思えば、水がもう胸のところまで

あと少しもう少し

ぼくがやったことといえば
舟の穴をほんの少し大きくしたということ

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2010年02月22日

ひかりの会話

ねえ、きみは温めることができる
お日さまがお月さまにそう聞いたとき
砂漠でだれかが水を求めてさ迷っていた

ねえ、きみは雲をつくることができる
お日さまがお月さまにそう聞いたとき
雲の下でだれかが流されまいと木にしがみついていた

ねえ、きみは葉を繁らせることができる
お日さまがお月さまにそう聞いたとき
庭でだれかが草取りをしていた

ぼくは温めることはできないよ
お月さまがお日さまにそう答えたとき
砂漠でさ迷っていた人が月明りを深く吸い込んだ

ぼくは雲をつくることはできないよ
お月さまがお日さまにそう答えたとき
流されまいとしていた人がおぼろ月を涙に滲ませた

ぼくは葉を繁らせることはできないよ
お月さまがお日さまにそう答えたとき
草取りを終えた人が三日月の杯を傾けた

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2010年02月15日

器未満

器を満たせぬというのなら
このまま枯れてく、淀んでく
それともいっそ流れましょうか

燻しているだけというのなら
このまま燻ぶる、消えていく
それともいっそ燃え尽くしましょか

ゆりかごに揺れているだけというのなら
それでも揺れてる、しがみつく
それともいっそ散りましょか

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2010年02月08日

魚らの処

砂漠に縛って放り投げ、石つぶてを打ちつけて
鋸で切り刻み、烏にはらわたを啄ばませ
そんなことが出来るわけもなく
行き場のない思いを叫んで、怒鳴って地団太踏んで
そういう者が今日も沈んでいった

寝待月夜の光の中にそっと佇んで
星にも届きそうな水底に魚らを棲ます
数知れぬ魚らは永遠に眠るかのように寄り添って
ただ湖面のさざなみにその彩を揺るがせる
そういう湖がどこかにあるという

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2010年02月01日

漆黒の瞳

はっとして振り返る
またあの瞳が肩越しに
痛いとも冷たいとも違う
柔らかいとも温かいとも当然違う
ただその瞳の奥深く
どこまでもどこまでも
重力を失い、微塵になって
拡散したり、凝集したり
これ以上にない漆黒に支配される
そう思った瞬間に消えるのだ

あの日から数日経った夜明け前の部屋
白い壁の片隅に、なにやら染みが滲み出て
次第に濃く、次第に形を整え
それがその瞳とのはじめての出会い

あの日も彼はただ黙っていた
なにを質問されても言葉を発することはなく
ややうつむき加減、でも姿勢はしっかりと
身じろぎもせず、瞬きもしていないかのようだった
その瞳から感情を読み取ることはできず
どこかを見つめているとも漠然と眺めているとも
どちらも、ほんとうのこととは言えないようだった
ただその黒さと深さにたじろいだ

取調べから接見、法廷まで一言も発しなかったという
ただ動かしがたい事実の積み重ねのみで裁判は続けられた
そして、その日
ぼくは事の重大性から最高刑で臨むべしと主張した

漆黒にぼくを導くあの瞳
あの瞳はいまでは夢のなかにも現れる
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2010年01月25日

ほとりにて

乾いた荒地に種を蒔いていた
子供のころから蒔いていたというのに
あごひげが真っ白になったいまも
どんな芽が出るのか分からないという
そのうち芽が出る年回りもくるだろうさ
そう言って笑っていた
あくる年に通りかかったときのこと
遠目から一面黄金色に彩られているのが目に付いた
白ひげの老人の姿はどこにも見えず
ただ黄金色の穂が、ようこそ、ようこそと
天を指して揺れていた

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2010年01月18日

事務所を後にする前に

真っ白な壁が褐色に染まってゆく
やがて壁は下から剥がれ落ち
一つの角が形を失って傾いた
そしてもう一つの角がガクリと崩れた

スプーンをカップに沈めると
数回かき回してカップを口に運んだ
なぜ砂糖を入れるような
そんな気まぐれを起こしたのか
この摩天楼の事務所を閉める“ハレ”の日に飲む
最後の極上の一杯にわざわざ砂糖を入れたのか

すべては計算され尽していた
自明なはずだった
買収するたびに資産は増え配当は増え

なぜ砂糖を入れたのか
まったくの計算外

カップのコーヒーを今度は
たっぷりとゆっくりと口に含む
ここ数日決断するまでに芯のようにできた頭の塊が
穏やかにとけていった

ショックは一瞬にして世界を駆け巡った
こんなに強くこんなに速くとは
その原理を使っていたのは他ならないこの自分

底に角砂糖の残ったコーヒーを飲み干した
そして事務所を後にした

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2010年01月11日

砂の謡

大河のほとりで飽きもしないで
一握りすくってはもう片方の平で受け止めて
こぼれ落ちる砂の謡に耳をたむける

一粒の種子を芽生えさせて
茎を伸ばして葉を茂らせて
千の種子を実らせた
そうして実らせた種子は数知れず
多くの人々を養い街は栄えた
かつて大地と呼ばれていたころの物語

やがて一粒の種子から実るのは
百に減り十に減り
多くの人々が飢えてさ迷い去ってゆき
町並みは砂に埋もれていった
今でははぐれた旅人が来るばかり
辺境の砂漠と呼ばれるまでの物語

大地と呼ばれる力を失った砂の謡
大河のほとりの月の光のように
曇りなく包み込み染み透り
むしろ旅人を
たどり着いたという気持にさせるのだった

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2010年01月04日

ランナー

うつむき しおれて ちからなく

今しも鼓動が口から飛び出さんばかりに激しく
脚は伸びないばかりか引き摺り加減
気力だけで腕を腰の位置で振る
握り締めているものを、いっそ捨ててしまおうか

かがやき みつめて りんとして

ただ一つのもの、確信しか目の前にない
ますます伸びる脚を大地が後押しをする
腕はごく自然に体勢を保たせ、確信を橋渡しする
ぼくは蒸気機関車、疲れを知らない

ささやき はげまし あたたかく

それは喜び、それは勇気、身体を廻る力
伸びる脚がその先の大地を掴まえて身体を引っ張る
腕は握り締めたものを顔に近づける
思いを最後まで運び届ける

突然駆け寄った少女
小さな花束を手渡した
花束を握り締めてのゴール
ぼくの一着

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2009年12月28日

憧れの輝き

川沿いを歩いていた
瑠璃色の輝きがちらちらと
その輝きに誘われて
気が付いたときは現地人の小屋に横たわっていた
生還できたのだ
あの輝きを追って人里近くにたどり着いたらしい
幻の遺跡を求めて遠い異国の原生林をさ迷っていた
ああ、もう一度あの輝きに触れたいものだ
遺跡のことはどこかにおいて
一目散に駆け寄って手の平に輝かせてみたい
体力が戻ったぼくは輝きをさがした

このあたりではごくありふれた蝶らしい
というのは瑠璃色の輝きを興奮して話すぼくの言葉に
現地人たちはあの蝶のことかと
さして興味も示さなかったことで察しが着いた

川沿いを歩いてしばらく
瑠璃色に瞬く輝きにいともたやすく遭遇した
ひらひらと集まって群れとなり
地上の一点を目指して舞い降りているのが分かった
大きくけれどもゆっくりと静かに息を吸い込んだ
そして一目散に駆け寄った
輝きが一斉に舞い上がる
ぼくを見下ろす無数の褐色の蛇の目模様
地上に残ったのは腐乱した動物の死骸

それでも求める、それでも求める
胸の奥で言葉が早鐘のように響き渡った

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2009年12月21日

絶壁にて

ずっと むこう
ずっと おく
導かれて たどった みち
振り返れば
すくむ足 くらむ目
絶壁の彼方
ひと ひと ひと ひと
の波が目指すのは こちら
熱いもの
ずっと おく
ずっと むこう
むしろ
とびこみたいのに

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2009年12月14日

青い薔薇咲いた

まっすぐだと思っていたのに
すこうしずつ曲がってた
おおきなおおきな丸だと思っていたのに
すこうしずつ曲がりかたが大きくなってた
落ちこんでいたんだね、まんなかに
落ちこんで落ちこんで
ほのかにほのかに、と・も・る、のは
広大な空間に咲いた青い薔薇
見つめている、見つめている

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2009年12月07日

蟹の身をほぐすとき

このただ(無料)の餃子が
帰るときには高くついてるんだよな
爺さんが言う
はは、違いない、笑顔を交わす
頬張った餃子
目の前を疾走する選手たち
ビールがのどを突き抜ける
記念競輪の競技場

マーケットへの配慮が足りんですな
おかげで大損だよ
退任役員が言う
なるほど、そうですか、杯を見つめながらうなずく
蟹の身をほぐしにかかる
言葉を継ぐ退任役員
この汲み出し純米吟醸酒には油っこい肴がいいな
プチ社交場の居酒屋

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2009年11月30日

紡がれる“もの”

カラカラカラとどこからともなく
軽く乾いているとも、哀調を帯びてしっとりしているとも
どちらともとれる不思議な音に誘われて
ふと訪れたその村の、工芸記念館に足を踏み入れていた
真っ黒なタールが塗られた木の床の
六畳ほどに区切られた部屋の片隅の
西日の洩れるすりガラスの前に
ぽつねんと置かれていた糸車、ただ佇んで
誘った音がいつの間にか収束したその部屋に
床のぎしぎしいう音と、息遣いだけが妙に響いて
はずみ車を規則的に回す腕と、繊維を導く細やかな指とが
―――紡いでいた
一本の糸となって―――巻き取られる
それは遠い記憶、それは遥かな行く末
あるいは今しも直面した現実
折からの光に茜に輝く紡錘は
祖母や母や娘や孫娘や
(変わったのはなに、変わらないのはなに)
“彼女”のつぶやきをカラカラカラと
今こそ確かに耳にしているのだった

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2009年11月23日

有無の、あ・い・だ

ねえ、満たされている
それとも、満たされていない
ひかりに
満たされるって、どういうこと

ねえ、満たされている
それとも、満たされていない
うるおいに
満たされるって、どういうこと

ねえ、満たされている
それとも、満たされていない
大気に
ただ横たわる
無力な意識だったあのころ
どんな感じを抱いてた

切っても切っても切れないもの
どんなもの
結んで開いて
どちらでも手にできる
どちらでも手にできない

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2009年11月16日

祖父の工房

彫り当てるのだと、ぼくは聞いた
はじめはおぼろげながらに形が見えて
彫っている間に確かな形が瞬く間に見えたと、ぼくは聞いた
なるほど工房―といっても小さな離れだが―から
はじめは鉈を振るう音、次に鋸で挽く音
その次にはのみを木槌で小突く音が聞こえた

祖父は工房にぼくを寄せ付けなかった
祖父が動き出す、後を追いかける
散歩のときはぼくがついてくるがまま
気ままに先を歩いていた
でも工房に入るときは振り返る
そしてキッと厳しい目でぼくを見るのだった
そんなことが二度三度
ぼくは工房に入ることを諦めた

祖父が亡くなったのはあっという間だった
ぼくが学校に出かける前、一緒に朝餉を食べたというのに
学校から帰ったら、もう慌しく通夜の準備をしていた
心筋梗塞と、大人は言ってた

葬式の日のこと、その日のことで一番覚えているのは
小柄な祖父には似つかわしくない大きな棺おけ
祖父と並んで像が横たわっていた
手はあたかもグローブを嵌めているように見えるほど未完成だった

だけどぼくには見えたのだ
今のぼくならこう言うだろう
聖母像とも菩薩像とも、ヴィーナス像とも土偶ともつかない
なんとも不思議な像だけど
確かに確かに柔和で穏やかで香りがあった

そのときのぼくはこう思った
きめ細かに掘り込まれた祖父の顔
夕餉の準備時に母を煩わせてべそをかいている
そんなぼくに囲炉裏端でそっと飴玉を出してくれた
祖父の笑顔

posted by はまべせいや at 04:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 疑問のウラガワ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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