2010年09月20日

かがり火

微かではあるけれど
たしかに、たしかに燃えて灯し続ける
蚊取り線香の火のようだと
そう、ぼくはその火の燃え尽きるところを見たくて
でも、いつも朝になって燃え尽きたそれを見て
残念がっていたのだっけ
もう、子供のころのようには行かせない
きっと、それを見届けるのだと言い聞かせ
じっと眼を手向ける

最後の薪をくべたのは、いつだったっけ
いまさっきだったような気もするし
あんがい前のことだったような気もするし
ずいぶんと薪を無駄にしてきたなと気付いたのは
その前のことか後のことか
ほんとうに必要な薪は何本だろう

髪の毛を焦がし、素肌を焼くかのように
ときに背丈よりも高く舞い上がる炎を見上げて
山道を登る蒸気機関車の機関士よろしく
一心不乱に次から次へと薪を火に放り込んで
それでも吹く風に降る雨に
火が消えはしないかという思いを払拭できなかった

そう、ぼくはこう言いつかったのだっけ
この火を切らさぬように
見届けるために
大切に
この薪を使うのだよと

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2010年08月15日

小春の予感

そよ風にほころぶ―影
まぶしくて
何もかもにほほ笑んでいた
春の記憶
気まぐれな風に静止したり壊れたり
凝視して、見失って
定めのように踊っていた
夏の記憶
しみ渡る風に透きとおる
いとおしみ
ひとしずくがすべてと知った
秋のキオク
風絶えて揺らぐことなく
引き込まれて
ぜんたい、肌に感じる
もう木枯らしが吹こうとも
決して失うことのない
小春の予感
凍てつくときを静かに見守る

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2010年08月08日

けむり、けむり、けむりが覆う
ひかり、ひかりを遮断して
いざなう、いざなう
呼吸を忘れた部屋
おや、そこに棲むものは

私はひかりが苦手なもので
こうした状況でなければなかなかお会いできません
でも、今棲みついたわけではございません
ずっとお慕い申しておりました
あなたにいかに楽にやり繰りしていただくか
それが私の使命でございます
何なりとお申し付けを

さてはとは思えども
軋む脊髄は、重みに耐えかねて
いぶす、いぶす
呼吸を忘れた部屋
おや、なにを蝕む

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2010年07月26日

はもん

あっ はもん
それ、
はつながっている
のだから
つぎから つぎ
ゆらり ゆらり
かがやきを
みつめてた
ぬくもりを
みつめてた
ほうようを
みつめてた
のに
そのさきは
くらやみ さむかぜ いばらみち
あらしのなか
このは
のように
いまも どこからか
ゆらり ゆらり
そこ、
にあった
それ、
だけをみつめる
のだから
しゅくしゅくと
かがみ
のように
なめらかな
きおくに
かえる

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2010年07月20日

グラスいっぱいのお話

グラスいっぱいにクラッシュアイス
ちゃりんしゃりん ちゃりんしゃりん
あれだけみんなお話したのに
しまいに無口になっちゃって
空っぽのグラスが残るだけ

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2010年07月11日

魔物

気配もしないし、匂いもない。だけどあいつは突然ぬっと現れる。がっしりとしたあの前足が突然飛んできて、一撃食らったら大変そうだ。指先には爪が隠されているのが分かる。その爪で何度も掻かれたら次第にこちらの動きが鈍くなるだろう。長く伸びた鋭い牙で、一瞬の隙を突いて首筋にでもこられたらたまらない。それとも爪で引っ掛けて、あのがっしりとした前足で組み敷いて、咽喉笛にがぶりだろうか。いつもあいつの影におびえてびくびくしている。この俺だって案外他の動物からは恐れられているのに。

水のみ場に浮浪狼が一頭。一瞬体が硬直した後、おそるおそる水を飲み始めた。

それにしても、どうしてこいつはいつも恭順のまなざしを送るのだろう。

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2010年07月05日

満ちるとき

丸めた銀紙を広げたような
海がゆるゆると揺れている
ちゃぷりちゃぷり
足元の岩に寄せては返し
吹く風は肌になじんで
なつなつと
いつから いつまで
そんな問いをどこか遠くへ吹き流す
この ときを
手の平に撫でながら
やんわりと受け止める
あっ、微熱
じんわりと潮が満ち
潮溜まりから ぽろり
鎖骨には水滴が

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2010年06月28日

流れ

ほんとうに行きたいのは どこ
どこに見る どこに聞く
計算ではみつけられない
やっと分かった
引っ張っていたつもり
ぷつり どこの音
失速
押されていたのか
流れが
呑み込めるもの 呑み込めないもの
それはなに
どこかでじんわり 雫が滴る

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2010年06月21日

白と黒

どこから飛んできたか
羽虫が硯に舞い降りた
ぽちゃりと墨にはまり込み
羽はすっかり墨だらけ
飛んだ と思ったら半紙にぽとり
よろよろと這いずり回り 体勢を立て直して
飛んだ と思ったらまたぽとり
よろよろぽとり よろよろぽとり
羽虫よ 羽が乾いたか
ようやく外へ消えてった
真っ白な半紙に残った墨の跡
崩れた星型に続いて右へ左へ擦れた線
途切れたと思ったら
ちょっと離れて崩れた星型
擦れが次第に頼りなくなり
最後に半紙に吸い込まれていた
さて何を書こうとしていたのだろうか
あるいは描こうとしていたか
視線を吸い込んで
外には羽虫の消えていった闇が横たわる

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2010年06月14日

ミライノキオク

憶えているのは だれ
みな去って行った 大地―なにを求めて
すこし ここいらで

ひとつぶの種 みつけた
風に崩れて形を変える
砂は受け止めてくれるのか
尽きるのが先か 確かめるのが先か
いや もう確かめた のだった
花びら ほころんで

ほんの 太陽が収縮するまで
みなからはぐれた 大地―どちらから
刻み込む 呼吸

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2010年06月06日

あちらの岸辺に咲く花は

膝小僧がかくりかくり
目の玉がくるりくるり
遥か彼方黒々と、ま・も・の
光すらも吸い込むかのように
膝を突き肘を突いて、やっとのことで覗き込む
ぼくの視線も吸い込んで
そっと、そおっと確かに
確かに距離を詰める
近づくにつれて
それは透き通っていたのだと、今さらながらに
(いや、それを知っていた)
(深みとはそういうことか)
今や淵は満たされて、待ちわびたとき
あちらの岸辺に咲く花は、どんな顔どんな香り
櫂が、ま・も・のを散らし
舟が、ま・も・のを滑る
舟の縁から覗き込んではいけません
ただ一心に櫂を漕ぐ

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2010年05月31日

工房より

刻み、刻んで
ぼくの彫刻刃の刃先だけが知る
吹けば飛ぶほどの削り屑を重ねて掘り当てるのだから
どうかそよ風だけを
木の葉のささやき声が混じった
そよ風だけをお届けください
金気の混じった風はいりません
他の彫刻刃はいりません
ぼくの彫刻刃の刃先がギラリ
えぐります

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2010年05月24日

深海魚

剥がれては浮かび剥がれては浮かび
温もらすもの凍えさすもの
愛おしむもの脅かすもの
解すもの強張らせるもの
満たすもの空けるもの
治めるもの乱すもの
みんな
みんなさようなら
さようなら
残されてゆっくり沈む
三千尋の深層水
深海魚のゆりかごは
透き通る透き通る

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2010年05月17日

ゆらり

ひりり ひりり やみが  からだが
きりり きりり からだが こころが
ほろり ほろり こころが やみが
くらやみの記憶 こんにちは
はりつめて じっとこらして 芯になる記憶

ゆらり ゆらり ひかりが からだが
ほわり ほわり からだが こころが
ふわり ふわり こころが ひかりが
ひだまりの記憶 こんにちは
ただよって ちりぢりになって 手放してゆく記憶

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2010年05月10日

謎の石

謎の石。空から降ってきてぼくの頭にごっつんこ。ねえ、なぜ降ってきたの、ぼくのところに。頭に怪我をしなかったのは、なぜ。だけど大怪我をしたも同然のこと。なぜ、なぜ、なぜが頭から離れない。お天道様は知らぬ顔。謎の石もだんまりを決め込んで。さすってなでて、ご機嫌をとってもずっとだんまり。仕方がないからにらめっこ。朝も晩も、昨日も今日も、先週も今週も。あれ、いったいどれくらい経ったのだろう。謎の石は次第に色を失って、水晶球みたいになってきたと思いながらうたた寝をして。目が覚めたときには見えなくなっていた。残ったのは、“なぜ”。

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2010年05月03日

春の嵐

大粒の雨が激しく傘を叩き、片手では支えきれないほどに傘が揺れ。それでも傘を差すというのだろうか。骨がへし折れ、やがては飛ばされてゆく。それでも傘を差すというのだろうか。ズボンの折り目はすでになく、磨き上げた靴も歩くたびにちゃぷちゃぷと音をさせ。それでも歩いてゆくというのだろうか。ひっきりなしに頬を叩かれ、容赦のない風に体温を奪われ。それでも歩いてゆくというのだろうか。それでも歩いてゆくというのなら、ぼくにはいったいなにが必要なのか。

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2010年04月26日

ちるちるみちる

ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるみちる
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるはらり
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるみちる
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるきらり
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるみちる
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるふわり
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるみちる
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるきらり
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるみちる
ちるちるちるちる
ちるちるみちる
みちるちるちるちるちるひらり

ちるちるみちるはだれのこと
ちるちるきらりみちるのは

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2010年04月19日

境界、或いはコア

さくっさくっさくっさくっ
刻むや刹那さらさらと形を失って
いちめん白く広がっている(どこまで)
ときどき大きな石や貝殻や
どこかの国の木の実を見つけては
手の平で感触を確かめたり
耳に当てて音を聞いたり
食い入るように見つめたり
鼻を当てて匂いを嗅いだり
次の日には無くなっている
(埋もれる、流れる、だれかが持ってく)
それらを愛でる
さて、ここいらで
瞼を閉じて大の字になる
おと、は呼吸のリズム
ひろがる、のは蒼い空間
幾憶の微塵が集まっては離れ
揺れるにまかす
やがて微塵は集まって光芒をなし
その眩しさに大の字を崩す
さくっさくっさくっさくっ
刻むや刹那さらさらと形を失って
あそこが境界
足跡を刻む大地

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2010年04月12日

かごのとり

すすり泣くような声とも、苦悩にうめくような声とも、いや憔悴したため息のようだとも。
塔の下で耳を澄ますと聞こえるという。その塔の下である晩旅の男が数匹のねずみを放った。あくる朝城主を訪ねて、「夜毎に聞こえるという塔からの奇妙な声、それをしずめることです。そうしなければ不幸に見舞われるでしょう。」こう奏上した。城主はその日の昼食をとりながらその男の刑の執行を見届けた。塔からあふれ出て押し寄せるねずみの群れに飲み込まれていったのは、それから程なくしてのことだった。

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2010年04月05日

酒樽どうしよ

するりと抜けて飛んでった風船
ディオゲネスおじさんのお椀のそばに着いたでしょうか
ほんとうに欲しいものってなんだった
寝床にしようか転がしましょか
酒樽見つけて思案顔

posted by はまべせいや at 04:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 疑問のウラガワ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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