2010年10月13日

ある朝の質問

今より若く電算部門を担当していたころは、元気もよく研究心向上心もある程度を保ち、無鉄砲なところもあった。コンピュータを使ってまだまだ仕事のやり方を改良できるのではないか、便利になるのではないか、販売力の強化に結び付けることができないか。そんなようなことを常に考えていた。小さな変更や少し機能が加わるようなシステム変更は、ほぼ独断に近い形で進めていた。会社はコンピュータから提供される情報で動いている。自分はまさしくその中心に位置して、自分が中心で会社が動いているというくらいの勘違いをしていた。だから、私が提出する「システム改善計画書」「コンピュータのレベルアップ提案書」などの類は議論を待たずに採用されて当然という気でいた。金がかからない提案には、糠に釘。金がかかる提案には、まず否定。社長や役員クラスも含めて上席者を小馬鹿にしていた。
ある朝私が出社すると「ちょっと専門家のきみに素人っぽい恥ずかしい質問なんだけど教えてくれないか。コンピュータはどうして速く計算ができるんだい。」ある役員がそんな質問をしてきた。コンピュータ関連のことなら立て板に水の如く答えられないと恥ずかしいと思っていたので頭をガンと殴られたような気がした。なんとか発声したのが「二進数による計算が普通人間が使っている十進数による計算よりも速いということと、コンピュータに使われている電気信号の速さによるところでしょう。」というような内容の言葉だったと思う。「ああ、そうかい。ありがとう。」と言って役員はさらなる質問を切ってくれたが、とても心から納得したような顔ではなかった。答えた私自身、まったく納得していなかったのだから。
確かに読んだ記憶はあったのだ。電気を全く使わない手回し式の計算機の話。リレー式の計算機の話。広場に大勢の人を集めて信号のオンオフに見立てて、号令でその人たちを動かして計算したという話。そういうことを含めて話をしなければおそらくその役員は納得しなかっただろうし、私自信納得できなかった。コンピュータユーザーの会社で実務をこなせばいいのだから、そんなことを知る必要などないのだと。そう思っていた。だが、ほんとうにそれでいいのだろうか。そんなことを考えた朝だった。

posted by はまべせいや at 05:31| Comment(3) | TrackBack(0) | 黒の部屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも拝見しています。これはせいやさんの、実際のお話しですか?
Posted by 雪だるまの白 at 2010年10月20日 09:52
いつも訪問していただいてありがとうございます。

さて、ご質問の答えになっているかどうか?

私はこのブログに真実を投稿しているつもりです。
その真実を記述するに当たっては、
事実を記述することもあれば
事実を脚色したことを記述することもあれば、
まったくのフィクションを記述することもあります。
さて、この文はどうでしょうね?

よくいらっしゃる方なら主語の使い方当たりで分ってしまうかも知れません。

最近踊り場で少し佇んでいるような状態ですが、
まだまだ芽吹かさなければならない種がたくさんあります。

どうかゆっくりとお付き合いいただければと思っています。
Posted by せいや at 2010年10月20日 18:07
失礼しました。 

電算室で働く方なのかなと思ったものですから…。 


Posted by 雪だるまの白 at 2010年10月20日 21:46
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