2006年02月13日

納税期(のうぜいき)

近所の税務署の周りで交通整理をしているのを見ると、もう春も近いなと思う。
過去にちょっと税金が戻る要素があって、
そして「確定申告なんて大人じゃん」なんてファッションみたいに考えていた時期があった。
また住宅取得で税金を取り戻すには確定申告をしないといけないなんて時もあった。
そんなこんなで何度か自分で確定申告をしたのであるが、でもそれも過去のこと。
私はサラリーマンで年収も確定申告をするまでに至っていないし、
申告したところで納税額に大きな変動があるわけではないし、
なんといっても仕事で数字ばかり見ているのに家では数字を見たくないという意識が働く。
よって今は確定申告なんて全くやる気なし。
妻が領収書を集めて少しでも税金を取り戻そうと確定申告をしようとしているようだ。
妻に感謝なのである。

私が会社で決算業務を行い確定申告を行う季節は、個人の確定申告の季節の後のこと。
春爛漫のその季節が最も緊張して数字と睨めっこの季節とは、
経理とはなんとも因果な商売である。
正しく企業の財政状況を反映させるために求められる企業会計と、
公平にそして少しでも多く税金を取ろうという税務計算。
この両者の間を埋めるための仕組みや計算が非常に面倒だ。
何とかならないものかなと思う。
去年の夏、私の会社が税務検査にあった。
その後の社内のレポートを作成するとき
「税務上」と変換したいところが「税無情」と変換された。
全く「税無情」だよなと、膝を打って一人にやけてしまった。

法や条例を侵した企業は罰せられるべきである。
そうしたことを行ってしまった企業を弁護するつもりはない。
しかし行政の求める税務計算と一般の社会が求める企業会計とが乖離しているように、
行政の求める企業の方向性と一般社会の求める企業の方向性に微妙なずれが生じているように思える。
そして、そのことが社会にひずみをつくっているような気がする。
できるだけ税負担を少なくして国の借金を返す。
そのためには民間にできることは民間に、小さな政府を目指す。
その方向でおおよその国民のコンセンサスは得られていると思う。
これは企業にビジネスチャンスの拡大を与えてくれる。
しかし今まで行政が執行していた国民へのサービスの一部を、
民間企業が負担するということでもある。
民間企業は不特定多数のなかから”より多く”のニーズを探り当て、
そのニーズにあったサービスを提供して利益を出して行こうと躍起になっている。
少数の人のニーズに対応していては
高コスト体質になってしまい利益を上げるには価格にコストを転嫁せざるを得ない。
これでは安くて良いサービスを望む”より多く”のニーズに応えることができない。
顧客離れが進み、企業としての存続が不可能なものとなってしまう。
行政サービスの負担を求める行政と低コスト体質を求める消費者と。
企業はその狭間でなんとか両者の折り合いをつけようとして努力する。

大多数の企業は、新たに負担せざるを得ないサービスをそのまま負担するだろう。
本当に企業としての存在理由を考えている企業は、
さらにその負担のなかに新たな価値を創造して利益に結びつけることを考えるだろう。
そして目先の利益しか考えず多少ズルしても構わないと考えている企業は、
負担すべきサービスを削って相対的にコストを下げて価格競争するだろう。
意欲と知恵のある企業が新しいサービスを生み出すにはよい社会だが、
意欲と知恵にそれほど優れていない大多数の企業では
法律や条令を受け止めて遵守していくという
品性がますます問われる社会になってきたと言っていいと思う。

一般の消費者はどういう状況に置かれるのだろうか?
上記のような企業の状態を理解し、新たな価値を作り出している企業を見極める。
またズルをして価格競争している企業はないだろうかと見極める。
そんな力をつけなければならないだろう。
また今まで行政サービスが行っていた負担は、一般の消費者にも回ってくる。
消費者として個人の立場においても自主自立で生活していかなければならない。
個人としても”見極めて頼らない”ということが責務であり、
それを果たすということがますます品性として求められることだろう。

現在、社会のコンセンサスと言える小さな政府作りには、
企業にも個人にも知恵と品性が求められる。
知恵や品性の成熟が小さな政府作りに追いつかないとき、
ちょっと困った社会になるのではないかと思う。
買い物をするときに見極めるのを面倒がる。
自分の確定申告を面倒がって、「税無情」なんて言って喜んでいる。
あれも面倒これも面倒と、何かにつけてまず面倒という言葉が頭によぎる。
そんな私はこれからの社会で、
きっと困った人に分類されていくことだろうと思う今日この頃である。
posted by はまべせいや at 17:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 季語に思う | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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