2006年02月06日

下萌(したもえ)

下萌:地中から草の芽が出ること。出た芽。(講談社日本語大辞典)

季節の草が萌え出ずるころにはまだ早いだろうか?
まだまだ寒いとはいえ、
常緑の林の中には枯れることを知らずに下草が茂っている。
須田国太郎という画家がいる。
その画家の作品中に森の下草をモチーフにした絵がある。
「業」で「なりわい」と読ませたか、「生業」で「なりわい」だったか?
思い出せず、調べられずである。
(多分前者であろうが、正確なことを知っている方は教えてください)
その絵は木々に葉が見られない。
ということは冬から早春か?
でもあれだけ下草が繁茂しているということは夏なのか?
下草の木漏れ日を浴びている感じからすれば、
実は木々に葉が茂っているのか?
よく分からない。
調べたり考えたりすると、この言葉でこの絵を指すのは適切でないだろう。
やはり季節や場所が違う気がする。
でも「下萌」という語感がこの絵に合うような気がした。

良く晴れたのどかな昼下がり。
ゆめとうつつをいったりきたり。
そんな感じで過ごす食後のひと時が幸福に感じられる。
木漏れ日の光と影があればなおのこと。
やさしい光のゆりかごにゆられているような感覚を覚える。

まだ日の昇る前の早朝。
リビング・ダイニングのダイニングの電球だけに灯りを灯す。
電球の下に身をおいて、アナログにほの暗くなっていくその空間で過ごすひと時。
そんなひと時が私の日常の中でも最も心が静まるときである。

恋人の語らう食卓を灯すキャンドルライト。
心理学の調査ではキャンドルライトの光の量が、
人間を一番正直にするという。
どうやら二人の間で大切なことを話し合うときは、
キャンドルライトのもとがいいようである。
陰影のある光は心の陰影まで映し出す。

人は誕生した瞬間どのようにこの世を見るのだろうか?
まぶたは閉じているものの光は感じるはずである。
まぶたを通して感じる陰影の世界。
木漏れ日の光にも似た感覚で赤ちゃんは感じているのではないだろうか?
人生初めての光の感覚というのは重要なのかもしれない。

森の木漏れ日の中で芽吹き、根を張り、繁茂していく。
そこにはやさしい光に包まれた小宇宙が存在する。
森の下草たちの”なりわい”。
須田国太郎の絵から、ほの暗い光の中で育って生をつないでいく下草の生命の物語を感じる。
さらには、
ほの暗い木漏れ日のような光の陰影に幸福感を感じて
その光のゆりかごのなかで生をつなぐ我々人類の、
”なりわい”といったものを感じるといったら、
それは言い過ぎなのだろうか?
posted by はまべせいや at 17:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 季語に思う | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>まだ陽の昇る前の早朝

せいやさん、いつも早いですよね。
毎日、せいやさんと同じような時間に 一日が始まったり
逆に 毎日、皆が寝静まっている時間に 仕事をしていたり
そんな人が 私の知り合いにもいます。

同じ生活パターンでも それぞれに
違う人生があるのだなとは思うけど
こんな風に 単純に 生活のサイクルが違う誰かがいる
そういうことでも
人それぞれ 色々な生き方があるのだな・・と
思ったりもします。

こんな所で・・な、下草の生命の物語と
人の日々の営みと
なんだか 重なるものを感じてしまいます。

暗がりに ぼんやり灯る明かりも
昼下がりの 柔らかな日差しも
十二分ではないけれど
充分だと 思えるところが いいのかも知れませんね。
Posted by うさこ at 2006年02月06日 23:17
薄明るい木漏れ日の森の地面の上に落ちた小さな種子。
その光のゆりかごの中で芽吹く種子のように、
私もこの世に生を受けた。

森の中の木漏れ日のゆりかごの中から
私達人類の祖先が草原へ旅立った。

銀河の中の暗い塵が集まって、やがて発光しはじめた。
その光のゆりかごのなかで私達の太陽や地球が誕生した。

宇宙の卵が爆発した後の偏在するエネルギーの光のゆりかごのなかで、
超銀河団や銀河団、銀河が誕生した。

木漏れ日を心地よく思う私達には
知識として上に書いたようなことが分かっていなくても
どこか自明のこととして記憶されているのではないか?
森の下草の”なりわい”は、
そっくりそのまま私達の感じる宇宙の成り立ちなのではないか?
この絵から感じる光と影を思いながら、
そんなでたらめなことを考えました。

光のゆりかごの記憶があるから、
私達は均一で強い光よりも
陰影に富んだ木漏れ日のような光に
やすらぎを感じるのではないか?
そんなことを思いました。

Posted by せいや at 2006年02月07日 05:31
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