2011年07月29日

穴ぐらの

棚から落ちた保存箱を乗り越えて
林立する傾いた棚の下をくぐり抜けて
ひとつひとつ
邪魔な保存箱を取り出して
奥の方から、少しずつ少しずつ
棚を立て直してゆく
窓からの頼りない光だけを頼りに
(まるで、穴ぐら)
保存箱をもとの棚に戻してゆく
停電したオフィスでできることと言えば、これくらいのこと

ザリガニ捕りにすっかり飽いた夕べ
ありの巣に棒を突っ込んで、穿り返して
続々と出てくるありの群れにザリガニのバケツをひっくり返した
「津波の発生、エビラの襲来だあ」
とは、
“だれ”の言葉

息を止め、二の腕を血潮で膨らまし、脚の筋肉を伸ばす
ふぅっと息を吹き、額を拭う
そのたびにかつての保存棚の姿を取り戻してゆく
繰り返し、繰り返し、ただ定められたことのように
そう、
あの日のありは、そういうことだったのか
と、
なぜか高笑い



posted by はまべせいや at 20:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 青の部屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月18日

岸辺まで

それはいかなるメカニズムによるものか

また拾っちまった 拾っちまったんだ
そこは適当なゆりかごと見えて
ころげては 食い込んで
ゆられては 突き刺して そいつは
居座っちまった 居座っちまったんだ

足裏にへばりつくサンダルのゆりかごの小石が
自然に飛んで行ってくれぬものかと
そんなことを思いつつ それでも
あえて立ち止まってということは とうに忘れて
岸辺に向けて のたりのたり



posted by はまべせいや at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 青の部屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月14日

遊戯

保存箱を棚に載せるというから
台車を押すきみについて行った

う〜んとこしょ

ねえ のって

ベビーカーみたい

部長が見たらなんて言うかな

あれっこののっけてるのなに
使わないなら捨てちゃいなよ
口癖のような部長の言葉が
同時にふたりの口をついた



posted by はまべせいや at 04:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 青の部屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月13日

満腹ということも 空腹ということも
おそらくはどういうことなのか 分からない
大きく見開いた
澄んだ瞳はしずかに物語る
祈るような気持ちで擦る
母親の手のひらの温かさだけを糧として
清水は枯れることなく
その湖水を潤してきたというのか
深淵を確かめたくて のぞきこんだ

孤児に群がる一匹の蟲が
申し訳なさそうに傷口にもぐりこんだ
posted by はまべせいや at 08:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 青の部屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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