2010年05月31日

工房より

刻み、刻んで
ぼくの彫刻刃の刃先だけが知る
吹けば飛ぶほどの削り屑を重ねて掘り当てるのだから
どうかそよ風だけを
木の葉のささやき声が混じった
そよ風だけをお届けください
金気の混じった風はいりません
他の彫刻刃はいりません
ぼくの彫刻刃の刃先がギラリ
えぐります

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2010年05月29日

鏡の中に

ぼくの鏡には“ある女”が棲んでいる。ぼくの顔を横切ったり、二重写しになったり。たまにしゃしゃり出ることもあるが、大抵は気配を感じさせるだけである。ぼくに醸すものがあるとしたならば、その周辺にあるのかもしれない。

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2010年05月26日

とんとん

とんとんとんとん きゃべつをせんぎり
とんとんとんとん きゃべつをみじんぎり
とんとんとんとん もっともっと
なにをきってた
とんとんとんとん
あおいひかり あかいひかり みどりのひかり
まっしろになったところを えぃ
とんとんとんとん きゃべつのせんぎり
たべちゃった

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2010年05月24日

深海魚

剥がれては浮かび剥がれては浮かび
温もらすもの凍えさすもの
愛おしむもの脅かすもの
解すもの強張らせるもの
満たすもの空けるもの
治めるもの乱すもの
みんな
みんなさようなら
さようなら
残されてゆっくり沈む
三千尋の深層水
深海魚のゆりかごは
透き通る透き通る

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2010年05月22日

ぎやまん水色徳利

熱く乾いた大地が瞬く間に吸い込んで
巻き起こる風がほてりを奪う
涼しげな顔してついっと佇む
きみのそそぐ一滴一滴は
きっとぼくを桃源郷に連れてゆく

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2010年05月19日

青い光

お父さんお母さんにはあれが見えないのだろうか。毎晩窓の外から窺っている目の光。瞬きもせずに青い光を発してじっと見ている。あれはケルベロス。隙あらば、きっとぼくらを一飲みにしようとしているに違いない。だからぼくはずっと見張りをしているんだ。
やっと小太郎が寝てくれたわ。じっとあの星を睨んでなかなか寝ないのだもの。もしかしたら私と同じ霊力があるのかもしれないわ。あの星の霊力を受けて私は生きている。たった一人でお祈りをしながら霊力を受けないとすべてが壊れてしまうのだわ。それなのに主人ときたら。
また二人ともしょうがない。またソファで寝てしまって。工場の光を怖がったり有難がったり。小太郎をベッドに運んでいくのはともかく、さすがに妻は。寝かしたまま運ぶのは往生だし、起こしてもそのまま毛布を掛けてやっても不機嫌だ。それにしても、工場の夜景もまんざらでもないな。特にあの青い光は。

街の裏小路の古道具屋に入ったのまでは確かに覚えていた。古道具屋のおやじが箱をぶちまけて何やら青く光るものを摘み上げて。すうっと吸い込まれるようにして・・・。気が付いたら公園の芝生に寝ころんで。いつもの休日の午後だった。

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2010年05月17日

ゆらり

ひりり ひりり やみが  からだが
きりり きりり からだが こころが
ほろり ほろり こころが やみが
くらやみの記憶 こんにちは
はりつめて じっとこらして 芯になる記憶

ゆらり ゆらり ひかりが からだが
ほわり ほわり からだが こころが
ふわり ふわり こころが ひかりが
ひだまりの記憶 こんにちは
ただよって ちりぢりになって 手放してゆく記憶

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2010年05月15日

感傷

生活するということは生きるということを消費して成り立っている。私が妻に対して恨み言めいたことを言うとしたら、煎じ詰めたところこの点に尽きる。だがそれを感傷と言われれば、反論の余地はない。さて、“私”を“男”に、“妻”を“女”に、置き換えられるだろうか。

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2010年05月12日

むすんでひらいて

むすんでひらいて手をうってむすんでまたひらいて手をうってその手を上に
むすんでひらいて手をうってむすんで

まず先生が歌いながら手をむすんだりひらいたり、手をうったりしてお手本を見せてくれた。ぼくは、先生が手を上に上げたところでくしゃみをした。みんなで“むすんでひらいて”が始まった。ぼくも“むすんでひらいて”。ところが手を上に上げたところで、衝動に駆られて走り出した。先生に席に着かされて、“むすんでひらいて”のやり直し。ところが手を上に上げたところで、再び衝動に駆られた。しばらく後、ぼくは教室の外でぼんやりと滲む青空を眺めていた。

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2010年05月10日

謎の石

謎の石。空から降ってきてぼくの頭にごっつんこ。ねえ、なぜ降ってきたの、ぼくのところに。頭に怪我をしなかったのは、なぜ。だけど大怪我をしたも同然のこと。なぜ、なぜ、なぜが頭から離れない。お天道様は知らぬ顔。謎の石もだんまりを決め込んで。さすってなでて、ご機嫌をとってもずっとだんまり。仕方がないからにらめっこ。朝も晩も、昨日も今日も、先週も今週も。あれ、いったいどれくらい経ったのだろう。謎の石は次第に色を失って、水晶球みたいになってきたと思いながらうたた寝をして。目が覚めたときには見えなくなっていた。残ったのは、“なぜ”。

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2010年05月08日

語り難いこと

饒舌に語れる経験というのは大概の場合ぼくの肉体を通り過ぎるだけだ。なかなか言葉に置き換えられない経験、言葉に置き換えても口にするのが気恥ずかしいような経験。そういう経験こそがぼくの肉体に棲み着いて、ときに巡り、ときに澱み、ときに燃焼し、ときに冷却している。

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2010年05月05日

流されて

せせらぎの音、風が木の葉を輝かせて走り過ぎてゆく音。どこかで、あれは雲雀か。ぼくの鼻腔を通る空気の音。甘いようなそれでいて幾分刺激するような芳香に包まれて、大地を背負い、目を閉じる。と、しばらくして。奇妙な浮遊感、そして水しぶき。状況を掴むのに随分手間取った。なんと、これは笹舟―に乗って小川を下っていた。やれやれ、何ということ。笹舟は器用に波の間をすり抜けて泳いでいるけれど、ぼくにはとてもじゃないが小川に飛び込んで無事岸に泳ぎ着ける自信がない。仕方がないか。どこかにたどり着くまで乗っているしかないだろう。そう思って今度は笹舟を背負い、そして空の雲を見た。雲がどんどんと後ろに流れてゆく。どこまで流されてゆくのだろう。だけど雲を見ているのは飽きないなと思っているうちに雲の動きがゆっくりになっていた。えっ、この香りは。まさか潮風。舟からあたりを見渡すと、なんと全方位まん丸な海。水平線と雲以外は何も見えなくなっていた。ああ、どうしたことだ。そう思っていると、一片の雲が見る見るうちに膨らんで、入道雲になったかと思うと雨が降ってきた。舟に水が溜まって沈んでしまう。そう思ったら、せせらぎの音。草の香り。ぼくが大地を背負ったすぐ脇で、山羊が尿を垂れていた。

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2010年05月03日

春の嵐

大粒の雨が激しく傘を叩き、片手では支えきれないほどに傘が揺れ。それでも傘を差すというのだろうか。骨がへし折れ、やがては飛ばされてゆく。それでも傘を差すというのだろうか。ズボンの折り目はすでになく、磨き上げた靴も歩くたびにちゃぷちゃぷと音をさせ。それでも歩いてゆくというのだろうか。ひっきりなしに頬を叩かれ、容赦のない風に体温を奪われ。それでも歩いてゆくというのだろうか。それでも歩いてゆくというのなら、ぼくにはいったいなにが必要なのか。

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2010年05月01日

息抜き

意味ありげな御託を放り散らすのも、くだらない軽口を叩くのも。それは排泄のようなものだ。排泄物は本来他人に見せるようなものではないが、ただ軽口を叩くには一緒に面白がるだれかがいたほうが具合いい。

posted by はまべせいや at 04:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 「K氏」をたどる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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