2010年02月27日

はずみのめまぜ

混ぜあうということ、分けあうということ、感じあうということ
それは会話、それは想像、それは創造
ぜんたいひとつのよろこび

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2010年02月24日

輪行

自転車をこいでいた。広い平原を自由に気の向くままに。自分の目指すものを探すために。はじめはそう思って、自転車をこぎだしたのだった。ほんとうは気付いていた。実は目指すものは“あった”ということに。自転車をこぎ続ける。左手眼下にカルデラ湖を見て。右手眼下に人々の海を見て。ずいぶんと遠回りをするものだと思いながら、ただ倒れぬために自転車をこぎ続ける。

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2010年02月22日

ひかりの会話

ねえ、きみは温めることができる
お日さまがお月さまにそう聞いたとき
砂漠でだれかが水を求めてさ迷っていた

ねえ、きみは雲をつくることができる
お日さまがお月さまにそう聞いたとき
雲の下でだれかが流されまいと木にしがみついていた

ねえ、きみは葉を繁らせることができる
お日さまがお月さまにそう聞いたとき
庭でだれかが草取りをしていた

ぼくは温めることはできないよ
お月さまがお日さまにそう答えたとき
砂漠でさ迷っていた人が月明りを深く吸い込んだ

ぼくは雲をつくることはできないよ
お月さまがお日さまにそう答えたとき
流されまいとしていた人がおぼろ月を涙に滲ませた

ぼくは葉を繁らせることはできないよ
お月さまがお日さまにそう答えたとき
草取りを終えた人が三日月の杯を傾けた

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2010年02月20日

どうして批評を読むのだろうか

「縦3メートル、横2メートルほど。傷口でどす黒く固まったかさぶたのような色でキャンバスを覆った油絵の壁画」というのと、「黒とは言えない、赤とも言えない。その壁画に対して向かったとき、はじめは胸騒ぎのようなものを覚えるのだが、それは次第に穏やかな呼吸へと変わってゆく。」というのと。どちらを人は批評と呼ぶだろうか。人はなぜ批評を読むのか。批評とはどういう意味があるのか。

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2010年02月17日

超・神話

分離する物語、融合する物語
理性の目覚めの度合い、理性の方向
生きるとは、歴史とは
なんとまあ、そこにあったと言っちゃっていいの?

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2010年02月15日

器未満

器を満たせぬというのなら
このまま枯れてく、淀んでく
それともいっそ流れましょうか

燻しているだけというのなら
このまま燻ぶる、消えていく
それともいっそ燃え尽くしましょか

ゆりかごに揺れているだけというのなら
それでも揺れてる、しがみつく
それともいっそ散りましょか

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2010年02月13日

くたびれもうけ

どんなことでも。どんなものでも。自分の口で噛み砕き、自分の胃腸で消化したものでなければ自分の血肉とはならない。どんな知識・情報でも。どんな作業。仕事でも。手にして口に運び、噛み砕く。そうした意思を働かせなければ、それはただ自分の周りを流れていくだけだ。便利な人ともてはやされて、ある種の成功は収めるだろう。しかし自分の内には何も残らない。逆に言えば。どんなにつまらないと思っても自分で口に運び、噛み砕いたなら、(無意識のうちに)胃腸を通じていくばくかは自分のものになっているはずだ。

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2010年02月10日

言葉を継げぬ物語

全体として事実とそう大きくは違わないのだが、矢張りそこには違和感がある。彼女が話す思い出話にそう思う。たとえば若いころ母の前であのメロディーをうるさいほどに口ずさんでいたというのは、父ではなくぼくだということとか。読経の最中にけたたましいサイレンを鳴らして消防車が何台も通り過ぎたのは、祖父の時ではなく祖母の時だったとか。ほんの些細なことではあるのだが、彼女はそこを糸口にして自分で話を作り出している(そしてそれを事実と信じている)。
彼女はよく話をしてくれた。胸に抱いて、布団のなかで。月や星、太陽の話。ライオンやねずみ、かめやうさぎの話。果報者や愚か者、富める者や貧しい者、ひょうきん者や律義者の話。ぼくは心を弾ませて聞いた。それが“世界”と思っていた。
若いころ物語を物語として認識して幼いぼくに語ってくれた母。その母がいまや自分自身の物語のなかに足を踏み入れようとしている。そしてその物語をぼくに語る。親が子に語る言葉とは。「そういうものなのだな」と思う。その現実にぼくは言葉を継げない。

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2010年02月08日

魚らの処

砂漠に縛って放り投げ、石つぶてを打ちつけて
鋸で切り刻み、烏にはらわたを啄ばませ
そんなことが出来るわけもなく
行き場のない思いを叫んで、怒鳴って地団太踏んで
そういう者が今日も沈んでいった

寝待月夜の光の中にそっと佇んで
星にも届きそうな水底に魚らを棲ます
数知れぬ魚らは永遠に眠るかのように寄り添って
ただ湖面のさざなみにその彩を揺るがせる
そういう湖がどこかにあるという

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2010年02月06日

どこかにいそうな彼、彼女

似たような事象に対して、あるときは頬を崩しあるときは涙する。あるときは飛び跳ねて踊りまたあるときは地を蹴って怒号を上げる。支離滅裂にも思えるが彼(彼女)の行動は、確固とした一貫性によってつながっているようにも思える。そういう彼(彼女)がどこかにいるはずだと、そういうようなことは誰しもが思うことではないだろうか。

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2010年02月03日

カウンターにはだれがいる

のれんをくぐると、カウンターの入り口近くに一人、カウンターの奥にもう一人先客がいた。ぼくはその二人の間に入るような形で座を占めた。入り口近くの客はもうかなり酒が進んでいるようだった。半ばカウンターに突っ伏すような格好でコップにも箸にも手が伸びるような感じではなかった。奥のほうのもう一人はテレビを見ながら酒を飲み、ニュースの話題に“適切な見解”を次々と述べていた。見解氏が饒舌に話し、ママが相手をする。見解氏の隣のぼくは当たり障りのない相槌をたまに入れていた。すっかり忘れてしまったころになって、入り口近くの客が「ママおあいそ」と言って席を立った。その客が帰ると見解氏が「つまらないらしくて帰っちゃったね」と言った。「うん、あの人ちょっと変わってるから難しいな。この前も『この間の大地震を起こしたのは自分だ』なんて。『滅多なことは言うもんじゃないよ』って言ったんだけどね。」とママ。その客の話はそれっきり。相変わらず見解氏が饒舌に話してママが相手をし、ぼくは相槌を入れていた。ほろ酔いと言うには、少し度を過ごしたかもしれない。どういう会話の流れか「自分というのは西欧流の自我よりも遥かに大きなものだ」とつい口を滑らせてしまった。見解氏は「あんた出家したらいいんじゃないの」と“適切な見解”を返した。(ちょっ、詰まらない奴に詰まらない切り口で話しちゃった。まださっきの客の切り口の方がしゃれてるかもしれない。)酒とともに言葉を飲み込んで、当たり障りのない相槌を再開した。
どちらの客と話すのも気が重い。酒を飲むのなら黙って飲むのが一番だ。艶話が二番目だ。そんなことを考えながら潮をはかって勘定を済ました。

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2010年02月01日

漆黒の瞳

はっとして振り返る
またあの瞳が肩越しに
痛いとも冷たいとも違う
柔らかいとも温かいとも当然違う
ただその瞳の奥深く
どこまでもどこまでも
重力を失い、微塵になって
拡散したり、凝集したり
これ以上にない漆黒に支配される
そう思った瞬間に消えるのだ

あの日から数日経った夜明け前の部屋
白い壁の片隅に、なにやら染みが滲み出て
次第に濃く、次第に形を整え
それがその瞳とのはじめての出会い

あの日も彼はただ黙っていた
なにを質問されても言葉を発することはなく
ややうつむき加減、でも姿勢はしっかりと
身じろぎもせず、瞬きもしていないかのようだった
その瞳から感情を読み取ることはできず
どこかを見つめているとも漠然と眺めているとも
どちらも、ほんとうのこととは言えないようだった
ただその黒さと深さにたじろいだ

取調べから接見、法廷まで一言も発しなかったという
ただ動かしがたい事実の積み重ねのみで裁判は続けられた
そして、その日
ぼくは事の重大性から最高刑で臨むべしと主張した

漆黒にぼくを導くあの瞳
あの瞳はいまでは夢のなかにも現れる
posted by はまべせいや at 04:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 疑問のウラガワ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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